走れクソス

クソスは激糞した。
必ず、かの邪智暴糞(じゃちぼうふん)の王を除かなければならぬと決意した。
クソスには政治がわからぬ。クソスは、村の糞人である。糞を吹き、糞と遊んで暮して来た。けれども下痢に対しては、人一倍に敏感(過敏性腸症候群)であった。
きょう未明クソスは糞を出発し、野を越え糞越え、十里はなれた此(こ)のシラクソの市にやって来た。クソスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な糞と二人暮しだ。